このページで、文字と発音から始まって、文法、単語、学習のコツ、などまで全般的な学習方法をご紹介します。

 「トップダウン方式 サンスクリット学習法 理論編 その2」

      

  「トップダウン方式 サンスクリット学習法 理論編 その2」

「理論編 その1」では長々と前置きをしましたが、では、実際に「トップダウン方式」、つまり実用的に、最短でサンスクリットの文章を読むノウハウとは、どのような方法なのかをここに解説をしてみたいと思います。

 上が、このサイトで、身につけるべき一定の読解力の目標とする「バガヴァッド・ギーター」の冒頭部です。これが辞書を頼りにでも、「読める」こと、また、ある程度の速さで音読または詠唱ができることが、ここで言う目標、つまり「トップ」、です。

 では、現在全くサンスクリットの知識を持たない方が、これが「読める」には、最短で何が必要なのでしょうか? それが「トップダウン方式」の「ダウン」に当たる部分になります。では、これを「読む」ために身につける条件を、順番に箇条書きに挙げてみます。

1.文字が判別できること。
2.単語の切れ目がわかること。
3.連声(れんじょう)が識別できること。
4.個々の単語の文法構造が識別できること。
5.個々の単語の意味がわかること。
6.個々の単語の意味と文法構造を基に、全体の意味が理解できること。

 以上が、上の文章を読むための条件です。反対に言えば、上の文章が「読める」人は、この流れを自然に、ひとつひとつ、または全体を一遍に頭の中で作業していることになります。

 つまり、この「読める人」の段階を「トップ」として、その人が頭の中で自然にしている作業を、意識的に、順に効率よく身につけていくことで、最短距離で「読める人」になってしまおう、というメソッドと言えます。

 それでは、この順番に解説をしてみます。まず1番目「文字が判別できること」です。

 まず上の文を「読む」際の一番初めにする作業は、これらの文字をそれぞれ判別することです。これは内容の理解とはまた別の作業、というよりその以前の段階と言えます。まずここを突破することが第一関門で、英語やフランス語、ドイツ語など、ローマ字で学べる言葉とのスタートラインが違ってくるわけです。
 
  このサイトや、発行しているメルマガではローマ字の翻字方法を採用しており、書籍でもローマ字のものも多少はありますが、本格的に読むには文字が読めることが、多くの文献に当たる条件になってきます。

 ただ、いくつかの多少の書体の違いはありますが、デーヴァナーガリーは一種類しかありませんので、漢字のように数百、数千の個々の文字が判別できないと文が読めない、ということがなく、基本の文字が判別できれば、内容は解らなくても、どのような文献でも目を通すことができます。

 英語でもそうですよね。ローマ字が読めますので、意味内容は解らなくても、文章の分野がなんであれ、その文字は識別できるわけです。そして、例えば英語ですと、その表記と発音の違いが非常に悪名高いわけですが(例えば、「the 」なんて、私にはどう読んでも「トヘ」としか読めません(笑))、サンスクリットの場合、表記と発音が「完全に同じ」です。これは世界中の文字、言語でも非常に稀少なものと思います。

 ですので、サンスクリットに関しては、一度文字とその発音を学んでしまえば、どんな文章でも、「文字が読める」=「文の発音ができる、音読ができる」ことになり、その点では非常に効率のよい言語と言えます。

 この文字の習得に関しては、短期間に集中的に一気に身につけてしまうのがコツです。詳しくはいずれ「文字編」の解説に譲りたいと思います。

 2番目、文字が判別できた次の作業が「単語の切れ目がわかること」です。これは他の言語の学習にはあまりない、サンスクリットに特徴的な作業になります。

 例えば、英語などは、初めから単語をひとつひとつ分けて書いてありますので、どこで単語が切れるかなど、意識しないでも読めますよね。

 一方、サンスクリットには一定の規則に従って単語をつなげて書く、または話す習慣があります。ですので、文の意味を把握するには、このつながりを切り離して、ひとつひとつの単語にばらしてあげる作業をしないといけず、これができないと辞書一つ引けず、文一つ読めない、ということになってしまいます。文章によっては、10以上の単語がずらずらずらずらずらずらずらと(笑)、つなげて書いてあるものも珍しくありません。

これは次の3番目「連声が識別できること」と関連します。上に書いた「単語同士をつなげる一定の規則」を「連声(れんじょう)」と呼びます。

 この「連声」、学習者にはやっかいなことに、単語をつなげる際に、つなぎ目が元の形と変わってしまうことが多いのです。ですので、この規則を知って、変化する前の形がわからないと、その単語の元の形がわからない、ひいては単語の切れ目もわからないわけです。

 例えば、上の「バガヴァッド・ギーター」の冒頭部の3行目に、ローマ字で表すと「paaNDavaazcaiva(パーンダヴァーシュチャイヴァ)」と表せる部分があります。

 この部分は、文章ではひとかたまりになっていますが、実は3つの単語から成っていて、「paaNDavaaH(パーンダヴァーハ)」「ca(チャ)」「eva(エーヴァ)」がそれぞれ元の形です。これらが連声によって「paaNDavaazcaiva」とつながっています。

 これは次の4、5番目とも関わりますが、連声の規則を知り、またある程度の語彙力がないと、上の「paaNDavaazcaiva」のような短い文でさえ、単語の切れ目が「パーン」?、「パーンダ」??、「パーンダヴァ」??「パーンダヴァー」???などなど、見当すらつかず、さらに、

 「caiva(チャイヴァ)」などは、「ca(チャ)」と「eva(エーヴァ)」、実際にはつなぎ目の「a(ア)」と「e(エー)」とがつながると「ai(アイ)」と変化する規則を知らないと、「caiva」を「ca」と「eva」に分けることができず、結局どちらの単語も辞書を引くことができない、というわけです

 つまり2番目と3番目は裏表ような関係で、「連声が識別できること」が、単語の切れ目がわかることの必要条件と言え、ひとつ目の「文字が読めること」以上に、学習者を悩ませる、最初の大きな関門と言えます。

 「理論編 その3」に続く

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Last updated at :2008/06/02(月) 15:30
Publish at :2008/05/23(金) 15:37

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