サンスクリット、ヨーガ、インド文化・・・・などなどサイトで扱う分野の膨大な関連書籍の中から、比較的入手のしやすい、必読本、おススメ本、またサイトで引用した書籍などをコメント付きでご紹介していきます。それぞれの分野についてさらに深く学びたい方、さまざまに異なった視点で学びたい方にご活用いただけたらと思います。

サンスクリット関連

 辞典 文法書 活用表・ハンドブック 読本 梵字・悉曇  その他

 辞典

  
「漢訳対照 梵和大辞典」 講談社 財団法人鈴木学術財団編集

日本語で読めるサンスクリット辞典で、ほとんど唯一と言っても過言ではない、実際に使えるレベルのサンスクリット辞典です。細かく何分冊にもされたものから(完成するまでは、このできたところまでの分冊で頒布する形式が取られたようです)、大型の2分冊、大型の一冊モノ、など多くの版があります。現在は、講談社から新装版として、あまり持ち重りせず、かつ、そこそこ文字の大きさもあるバランスのよい一冊モノの版がでています。新品で25200円と少しお高いですが、日本語で読める唯一の辞典ですので、本格的にサンスクリットを学習したい方には必携と思います。(専門古書店などでたまに若干お安く売っているときがあります)ただ日本人の編纂という性質上か、仏典からの引用がほとんどで、訳も漢訳語ばかりが並べてあるものが多かったりで、仏典以外の著作を読むのには不便な点もあります。収録語彙もモニエルなどに比べるとかなり少なく、専門的な用語では載っていないこともあります。また訳語がモニエルをそっくりそのまま訳したな、とバレバレ(?)の部分も目に付きます。ただやはり日本語で引けるというありがたさには代えがたいものがありますので、これを基本に使用しつつ、物足りなくなったらアプテやモニエルを買い足していく、というのが良いのではと思います。もちろん、英語に何の障りもないようでしたら、かえって安価なアプテやモニエルを初めから活用するのもまたひとつの手です。
 

 
「A Sanskrit-English Dictionary」 Sir Monier Monier-Williams

「お役立ちリンク」でもご紹介した、サンスクリット辞典の定番、いわゆる「モニエル」の梵英辞典「A Sanskrit-English Dictionary」です。総見出し18万語という膨大なもので、サンスクリットを本格的にされる方にはぜひとも必要なものです。ただ上記の梵和がローマ字で引けるのに対して、こちらの見出しは、デーヴァナーガリーでの表記がほとんどです。(オンラインではローマ字で引けます)オンラインも便利ですが、やはり本腰を入れる際には書籍を入手しておきたいところです。以前は大きく扱いに不便なオックスフォードの版とそのインドのリプリント版が多かったですが、上記梵和より一回り大きいぐらいの扱いやすい版が名著普及会から出ています。ただ文字が小さく、また現在では入手が難しいようです。現在では名著普及会のものより少し大きめのハードカバーの版がインドでのリプリント版で出ており、比較的安価で入手ができます。ただ装丁の堅牢さ紙の質などではやはり日本の版の方が上ではあります。左のアマゾン以外でも、インドの書籍を扱う書店さんで入手することもできます。

 

 
「The Practical Sankrit-English Dictionary」 Prin.Vaman Shivaram Apte

こちらもオンライン版をリンクでご紹介した、定番辞典のひとつ「The Practical Sankrit-English Dictionary」いわゆる「アプテ」の辞典です。左のご紹介は臨川書店から出ている版で、コンパクトで、かつ装丁もしっかりし、紙の質もとても良いものです。インドのリプリント版では装丁や紙質などの質は落ちますが、専門書店さんなどで、比較的安価で入手できます。末永く、かつ愛着を持ちつつの使用を望むのでしたら、日本の版の方が使い心地はよいです。専門古書店で臨川の版が割安で出ることもあります。こちらはモニエルに比べ、古典文学などを読むのに必須とされるもので、原典から抜粋した例文が豊富で、例文を眺めているだけでサンスクリットの文章の感覚をつかむ練習になります。ただ例文に英訳が書いてないのが残念な点です。これの例文などを省いた簡約版「The Student's Sanskrit-English Dictionary」や、さらに小さい「Concise Sanskrit-English Dictionary」というのもあり、これらは安価で、持ち運びによいので、ちょっとした調べものや、携帯して単語を覚えたり、などにも使えます。

 以上がサンスクリットの代表的な辞書です。もちろん、これで終わりではなく、まだたくさんの辞書があります。が、これより小さいものは実際の読解にはあまり役に立たない場合が多いようです。よく、「辞書は何冊持っていても良い」と言いますが、これら3冊の辞書はそれぞれ特徴が違いますので、取り組み方とご予算に応じて、できれば3つとも揃えるのがベストではあると思います。「梵和」だけはあまり安く入手できませんが、他はリプリント版でお安く入手できるのはありがたいです。                     

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 文法書

 


「サンスクリット文法」 辻直四郎 岩波全書

 日本語で読める サンスクリット文法書の定番中の定番、同じ岩波の「
リグ・ヴェーダ讃歌」などの翻訳でも知られる辻直四郎著「サンスクリット文法」、いわゆる「辻文法」です。文字と発音から始まって、高度な文法までを網羅して記述してあります。定番中の定番ではありますが、逆にこの書を初めから読んで、実際の文章が読めるようになった、という方はいらっしゃらないのではないか?と思うほど記述は簡潔です。この書は文法学習書、というよりもどちらかというとハンドブックに近い体裁で、大体の文法を身につけた方が、文法知識の確認に参照する本、と言ってもいいと思います。何はともあれ、サンスクリットとの関係を長く続けていくのでしたら、お手元に置いておいて損はない本です。時間があるときにパラパラめくって眺めているだけで何かしら益するところがある本です。解説は全てローマ字ですのでとっつきが良いです。なお、この書を高級書扱いする向きもあるようですが、記述が簡潔で、また用語が難しいだけで、内容がさほど難しいわけではありませんので、尻込みする必要はないと思います。

 


「サンスクリット語初等文法―練習題,選文,語彙付」 J.ゴンダ 

上の高等とされる「辻文法」に対して、初級者向けの文法書とされる、いわゆる「ゴンダ」の文法書です。こちらもローマ字での表記です。練習題がついていますが、短いものばかりで、実際の読解に役立つかどうかは?というところですが、無いよりはよいという感じでしょうか。一般的にはゴンダをやって、それから辻に、という流れがあるようです。ですがこれも上と同じように読解のための文法書ではない簡潔な記述です。でもローマ字で読める点と、簡潔によくまとまっているという点では、とっつきがよく、他の言語を学んでいる方が、サンスクリットの概要を知りたい、という時にもよい思います。薄い本なのに、なぜか定価がちょっとお高めで、辻文法とほとんど変わりないです。古書店でもたまに安く出たりします。以前の版ですと定価が安かったので、古書の値段もそれなりに安い場合があります。内容は同じです。

 

 「新・サンスクリットの基礎 上」 菅沼晃 平河出版社 もとは一冊本であった同書を、大幅に増補改訂して二分冊になったのがこの本です。最近の本ですので、いろんな書の良いところをとって、よくまとまっている書です。インドの伝統的な方法も加味して、初級から上級までをカバーしています。ただやはりこの書でも、この本で読解ができる、という性質は薄く、文法解説書、という体裁です。現状では、文法書は文法書、読本は読本、と両方を兼ね備えたものはなかなか無いようです。

 

 

 「新・サンスクリットの基礎 下」 菅沼晃 平河出版社 下巻では動詞や複合語を扱います。巻末に辞書の引き方、また古今のサンスクリット学習関連の書籍を挙げてあり、とても役に立ちます。本の帯に「サンスクリット文法はこれで充分!」とありますが、文法解説では充分かもしれませんが、実際に読むという観点からは決して充分とは言いにくいと思います。ただ、同じ著者さん、同じ出版社で、下にご紹介する読本が出ていますので、文法事項はこちらを、読解は読本を、ということなのでしょう。

  

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「サンスクリット語の構文と語法 印欧語比較シンタクス」 二宮陸雄 平河出版社 
 医師であり、ラテン語、ギリシア語など古典語の講座も持たれている著者さんが、印欧語の研究の末にたどり着いたサンスクリット研究の成果をまとめた本です。1886年に刊行された、Speijerの「Sanskrit Syntax」を元に書かれています。サンスクリットを実際に読むには、細かい文法よりもこういった実際の語法を学んだ方が効率がよいとは言えます。例文について一語一語詳しい文法解説があり、その解説には「菅沼の文法」と「ゴンダの文法」のセクションを参照しているので、そちらと併せて読めば細かい文法的な疑問も解消しながら読むことができます。後半は、ロシア語、ドイツ語、ラテン語、ギリシア語など、他の印欧語との文法的な比較をしていて興味深く読めます。巻末に語彙と文法の索引も完備していて、全体になかなかしっかりした作りです。サンスクリットの例文は全てローマ字で表記されていますので、デーヴァナーガリーに慣れない方にも読みやすいです。

 

  
  

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 活用表・ハンドブック

 

 「THE ROOTS, VERB-FORMS AND PRIMARY DERIVATIVES OF THE SANSKRIT LANGUAGE」 WILLIAM DWIGHT WHITNEY
古典的なサンスクリット文法書の著者として著名なホイットニーによる、サンスクリットの主要な動詞の活用を一覧した書です。動詞の
活用の多いサンスクリットで、活用形を特定するのに便利です。ただ、古典ギリシア語の逆引き辞典のような機能がなく、また活用表のように活用を全て網羅してあるわけではないので、ある程度動詞の基礎を知っていないと目指す活用にたどり着けない、という難点はあります。西洋の版ですとかなりお高いですが、現在はインドのリプリント版が出ており、ご紹介のようにとてもお安く入手できるようになりましたので、一冊持っていても損はない書と思います。なお、「お役立ちリンク」でご紹介したPeter Scharf氏のサイト「Sanskrit Library」で、この書の内容がオンライン化されており、ネット上で動詞の原形から活用を調べられるようになっています

 

 「Sanskrit Manual A Quick-reference Guide to the Phonology and Grammar of Classical Sanskrit」 RODERICK S. BUCKELL  
 サンスクリットの文法のハンドブックです。発音、名詞、動詞などの概観と、それぞれの一覧表から成っています。巻末に名詞と動詞の語尾からその単語の曲用、活用を特定できる表もついており、活用、曲用を覚えるのにも、調べるのにも使える本です。サンスクリット学習者必携の書と思います。簡単な文法を学んだら、これを頼りにどんどん実際の文章に当たったほうが、いつまでも文法書にしがみついているよりもよっぽど読解力養成のために良い思います。表記は全てローマ字表記です。

  

 読本

 

 「Ramopakhyana-The Story of Rama in the Mahabharata: An Independent-Study Reader in Sanskrit」 Peter Scharf RoutledgeCurzon
 「バガヴァッド・ギーター」と同じ、「マハーバーラタ」の中の挿話である「ラーマ物語」全文を、デーヴァナーガリーの原文とローマ字翻字、一語一語の文法的解説、意味、全体の訳、と詳細な解説をつけた体裁の書です。まとまった長さの文を読ませてくれ、一語一語の文法解説がある読本は、現状でこれが一番優れていると思います。従来の本は、原文と解説が別のページにあるものがほとんどで、めくる手間がありましたが、これは同じページに原文と解説などが全て収まっていますのでその点でも使いやすいです。全部で950ページ近い大著です。簡単な文法を終えたら、これを頼りに頭から読んでいくことで、独学でもしっかりと読解力を養うことができます。惜しむらくは全て英語の解説で、文法の解説はなく、読者がすでに一定の文法を学んだことを前提として書かれています。英語が読める方にはこれが最上の読本と思います。なお、著者による、この本のさわりや、他にもパンチャタントラなどが原文で読める便利なサイトがあります。(「お役立ちリンク」参照)
 私のこのサイトのもくろみは、「ギーター」でこれを超える水準の内容を構築したい、というものなのです。ですから、このサイトの作成が進んでいけば、日本のみならず、世界でも最上の読本(笑 でもホントです)となるはずです。

  「増補改訂 サンスクリット講読 インド思想篇」 菅沼晃 平河出版社
 上記「菅沼の文法」の菅沼晃さんの、文法書の姉妹編の読本「サンスクリット講読 インド思想篇」です。ヒトーパデーシャ、バガヴァッド・ギーター、ラーマーヤナ、またプラーナやウパニシャッドなどから文章を抜粋して、原文とローマ字翻字、また一語一語の文法的な解説、訳をつけた体裁です。細かい文法は上記「新・サンスクリットの基礎」のセクションを参照しているので、そちらと併せて利用すれば、文法事項もしっかりと押さえることができます。日本語で読め、独習に使える画期的な読本です。個人的には上の「ラーマ物語」がおススメですが、日本語で読める点と、文法的な解説が参照できるという点ではこちらに軍配があがると言えますので、英語ではいまひとつ読みにくい、という方にはこちらをおススメいたします。なお、これは「インド思想篇」で、仏典を別巻で出すとのことですが、10年以上経った今も出版されていないようです。
  

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 梵字・悉曇 (ぼんじ・しったん)

  もともとサンスクリットは音にも文字にも聖性を見る思想がありましたが、ヒンドゥー教などの影響を受けながら発展してきたと考えられる密教では特に、サンスクリットの文法を離れてさえ、その文字を尊ぶ思潮が発達しました。文法を学ぶ手助けにはあまりなりませんが、サンスクリットの一分野として、梵字の本もご紹介させていただきます。

 

 
「梵字悉曇 慈雲流の意義と実習」 静慈圓 朱鷺書房

江戸時代にサンスクリットの文法を研究し、膨大な著作を残された慈雲尊者の、いわゆる慈雲流の書体を中心に、梵字を全般に解説しています。インドから始まり慈雲尊者に至るまでの梵字の歴史から多くの結合文字の一覧、また主要な真言、曼荼羅の紹介まで、よくまとまった書です。字母の解説は多くの書体を併せて一覧に紹介しており、筆順の解説もわかりやすく、実際に書く場合にも参考になる体裁になっています。文法の解説は全くありませんが、梵字の歴史などは読んで参考になることが多いです。サンスクリット学習の別の楽しみとして、梵字の習字に手を染めてみるのもまた楽しいものかもしれません。
 

  
  

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 その他

  「古事記の真実 神代編の梵語解」 二宮陸雄 愛育社
上の「サンスクリット語の構文と語法」を書かれた、二宮陸雄さんによる、「古事記」をサンスクリットで読み解く、という衝撃の(?)作です。私はこの方のラテン語の著作も持っており、「サンスクリット語の構文と語法」とともに、とてもかっちりと学術的で、かつお人柄が出るような生真面目な著作を知っていたために、この本を見たときには「えっ!? あの方がついにこんなトンデモ本を!?」(笑 失礼!)と驚きました。内容は「古事記」の従来語義不詳、とされていた語や神様の名前を中心に、サンスクリットで意味を読み解き、古事記にインド思想の影を見よう、というものです。例えば「ミトノマグワイ」を「mithuna ペアの。一対を成した。女と男のペア。ペアを成すこと。性交。」「makka 楽しい。快活な。祭り。快楽や祝いのある機会<場合>。供犠。」との複合語で、「男女のペアの快楽行事」「性交の祭り」を意味する、といったように解いていきます。古事記には朝鮮語で読み解く、という流れもあり、サンスクリットで読み解くこの説も、学会の主流にはなれないとは思いますが、示唆に富んだものであることは間違いないです。これが題名のように「真実」か、はたまた「トンデモ本」かは、どうぞお読みになったうえでご判断ください!
  
 

 
「サンスクリット」 ピエール=シルヴァン・フィリオザ 著 竹内信夫 訳 白水社 文庫クセジュ
 白水社のクセジュシリーズに「サンスクリット」が出ました。文法を解説する内容ではありませんが、歴史から概要、学ばれ方、話し言葉としてのサンスクリット、などまで、他の本にあまり書いてないようなことも記述があり、学習者には参考になる点が多いです。新書版の本なので、携帯にも便利で、持ち運んでちょっとした時間で読み進むことができます。2006年6月発行の、比較的新しい本です。

 サンスクリット関連の書籍も、内容はともかくとして(失礼!)国内でもちらほらと新しい発行の本が散見されてきたようです。サンスクリットの分野も少しは活性化してきたのかな?と思う今日この頃です。

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Last updated at :2008/05/16(金) 09:45
Publish at :2007/05/06(日) 21:40

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